特定非営利活動法人ADDS様

非営利団体がGoocusを利用してeラーニング事業を立ち上げ。遠方在住や忙しい保護者でも自閉症があるお子さんのための学習が可能に

取材にご協力いただいたADDS共同代表の竹内さん(右)とADDS情報発信事業部マネージャーの加藤さん(左)

取材にご協力いただいたADDS共同代表の竹内弓乃さん(右)とADDS情報発信事業部マネージャーの加藤孝央さん(左)

特定非営利活動法人ADDS(Advanced Developmental Disorders Support)は、自閉症などの発達障害のあるお子さんとその保護者を、サポートする団体です。「親御さん主導で、子育てとして取り組める療育」というコンセプトのもと、保護者トレーニングプログラムに注力して活動しています。

ADDSは理論的な療育方法を身につけてもらうために保護者トレーニングを実施。「ABA」と呼ばれる手法に基づいた体系的な療育方法を伝えています。保護者トレーニングを受講したあとには、希望があればADDS学生セラピストによる定期的な家庭内療育サービスも提供しています。

数々の保護者の方にトレーニングを実施してきたADDS。プログラムをより広い範囲の方に届けていく上で立ちはだかる課題を解決すべく、キャスタリアの教育プラットフォーム「Goocus(グーカス)」を導入。eラーニング事業「ネットdeぺあすく」を立ち上げました。

保護者の効率の良いトレーニングプログラム提供を目指して

今回、お話を伺ったのはADDS共同代表であり、保護者向け研修事業を統括している竹内弓乃さん。

「ADDSは、2009年に立ち上げました。私たちは自閉症のお子さんに対して、応用行動分析という理論をもとに支援するプログラムを提供しています。集中的に適切な形で支援を行うことで、お子さんの認知コミュニケーション機能が大きく向上することが国内外の研究で明らかになっています」(竹内さん)

研究では有効性が明らかになっている一方で、日本ではまだこの支援が浸透しておらず、支援を受けられる人数が限られている。この状況に、竹内さんは課題を感じていました。

2016年4月2日開催の自閉症啓発デーの様子

2016年4月2日開催の自閉症啓発デーの様子

「自閉症の子どもたちに対して、幼少期にやってあげたいことがたくさんありますが、時間は短い。にも関わらず、セラピストの数は少なく、質の高い支援を提供できる人には限りがある状態。新しい仕組みを提供することで、なんとか支援できる対象を広げられないかと考えていました」(竹内さん)

国内における応用行動分析や早期療育の認知は低く、専門家も不足している状態。サービスの広げ方に悩んでいたADDSが着目したのが、保護者の方々の熱意でした。

「保護者の方々は「子どもと一緒に生きていく」という気概を持っています。保護者は、子どもの良い理解者・支援者になることができる。週1回程度の通所支援の間に保護者の方が何もしないのではなくて、保護者の方々も子どもたちをどう支援するかを学ぶ。保護者の方々が自宅で取り組めるようになプログラムを提供していくことにしました」(竹内さん)

子どもへの直接支援のみならず、保護者の方へ間接支援も重視することにしたADDSは、2013年から児童福祉法の枠組みで、児童発達支援事業を開始。保護者の方の負担が1割でサービスが提供できるようになり、月4万円かかっていたコストが、1回あたり約1200円へと下がり、かなり低コストで提供できるようになったそうです。

「低コストでサービスが提供できるようになりましたが、行政の枠組みでのサービスは、子どもたちへの直接的な支援が中心でした。私たちは直接的な支援とセットで保護者のトレーニングが必要だと考えていたのですが、報酬内でのサービス提供は難しい状況でした」(竹内さん)

報酬内では簡単な相談に乗ることはできても、体系的な保護者トレーニングプログラムを提供することはできない。「なんとか効率化することはできないか」と考えたADDSが検討したのが、「eラーニング」だったそうです。

効率化と遠方への提供を目指して

少ない人数で活動しながら、すべての自閉症児に望めば適切な支援を受けられる社会にしたいと考えるADDS。労働集約的な活動の仕方では、すべての人にサービスを届けることはとても困難です。竹内さんは、サービスの再現性を高めるために、ITを活用したいと考えました。

「ADDSが実施していた研修は職員が講師を担当していて、講義内容はパッケージ化されていました。それならeラーニング化できるのではないか、と考えるようになりました」(竹内さん)

「保護者トレーニングを効率的に受けてもらいたい」というのが、ADDSがeラーニングの検討を始めた理由の1つ。もう1つの理由は、離れた土地でも受けられるようにしたいというものでした。

「新聞に掲載されたことがきっかけで、全国から問い合わせが来ました。とてもありがたいことでしたが、研修で受け入れられる枠は限られていますし、遠方に対しては私たちにはできることが限られてしまいます。支援コースに幅をもたせたり、部分的にでも支援できるサービスを持ちたいと考えました」(竹内さん)

「eラーニング」であれば、直接会える保護者の方々のトレーニングにも使えるし、直接会えない方々でも子育てしながら学び、採り入れてもらうことができるのでは、そう考えたADDSが導入したのが「Goocus」でした。

「Goocus」を知ったきっかけと選んだ理由

「eラーニングを提供したいものの、どうやって実現したらいいのかはわからない状態。なかなか一歩目を踏み出すことはできませんでした。そんなとき、ADDSの監事が、ITエキスポで良いサービスを見つけたと教えてくれたんです」(竹内さん)

偶然の出会いから「Goocus」を知ったADDSさんは、詳細を聞いてみることに。非営利団体向けのプランがあることなどに魅力を感じ、導入を決められたそうです。

「色々と機能を教えていただいて、「こんなこともできるんですか!」と驚きました。大きくカスタマイズしなければ、導入のためのお金もそれほどかからないということでしたし、まずは試してみることができたので始めやすかったですね」(竹内さん)

「Goocus」の導入を決めてから、手続きには負担はほとんどなかった、とADDS情報発信事業部マネージャーの加藤孝央さんは語ります。

「システムを利用することについては、負担はありませんでしたが、eラーニングで使用するコンテンツをゼロから作成したのは大変でした。導入を決めてから、最初のモニターまでにかかった期間は半年ほどです」(加藤さん)

ADDSは、eラーニングをスタートするまでに2つのテストを実施しました。少人数の保護者の方に少し体験してもらい、モニターとして全国から20の家庭を募集して、二段階でテスト運用を行いました。

Goocusを使って学習する様子

「テストを実施したことで色々なことがわかりました。動画やテキストコンテンツの質からアプリまで、諸々のフィードバックを保護者からいただきました。「Goocus」は、ユーザーから高く評価されていました」(加藤さん)

モニターを体験した保護者からは、「親が少し対応を変えるだけで、子どもの反応が変わることがわかりました」「とてもわかりやすいから他の家庭にも薦めます」といったポジティブな反応が寄せられたそうです。

「もちろん、eラーニングだけでは、全部を学ぶのは難しいと感じたという意見もありました。私たちは、eラーニングを通じて、次の一歩を踏み出すためのきっかけになってもらえたらと考えていました。小さな”できた”を実感してもらうことができれば、と。それは達成できたので、モニターの段階で手応えはありました」(竹内さん)

ソーシャルな機能も使える「Goocus」

元々、直接会ってプログラムを提供してきていたADDSでは、まだ直接のプログラム提供がメイン。「eラーニングもオプションとして継続的に利用者を増やしていきたい」と加藤さんは語ります。

「eラーニングを受講している方はサービス上で質問をすることで、気になっていることを聞いたり、質問に対する回答を共有できるようになっています。気になる点は共通していることが多いので、メリットとなっていると思います」(加藤さん)

ADDSさんからは、eラーニングならではの交流や共有を促していくために、ユーザーがタイムラインに投稿した内容にコメントがついた際に通知されるといいなどの要望もいただきました。「自分のメッセージに対して、誰かから返信があるということがモチベーションにつながりやすいですから」と加藤さん。

eラーニングの受講をひとつのきっかけとし、その後は各家庭に合わせたサービスの提供をしていきたいとADDSは考えているそうです。

「負担は大きいですが、保護者の方が受講した際にアンケートに答えてもらい、発達状況や抱えているニーズのヒアリングをしていきたいと思います。eラーニングを受講して、何かしたいと思うのであれば、次のアクションヒントを提示していきたいですね」(竹内さん)

これまでは直接の研修も土日に実施しないと保護者が参加できなかったため、ADDS職員の方が土日に時間を割いてやらなくてはなりませんでした。eラーニングを導入したことで、時間に余裕が生まれ、新しいプログラムの開発にスタッフが時間を割けるようになるという利点も生まれています。

ADDSのeラーニングのこれから

Goocusを使って学習する様子

ADDSでは、eラーニングをスタッフの育成やセラピストを養成するためにも活用し始めています。

「今後は、支援者育成にも注力していきたいと考えています。ADDSでは、施設で勤務している人や学校の先生を対象に、セラピスト養成講座を開いています。この座学部分をeラーニング化していきたいと思います。保護者向けだけではなく、支援者向けにも提供していきたいですね」(竹内さん)

まずは、保護者向けのサービスとしてスタートしたADDSのeラーニング。今後の展望としては、対象を拡大していきながら、利用者を増やしていくことを目指しています。

「最初は、まず試してみたいという考えからスタートしました。「Goocus」のおかげで、eラーニングがちゃんと提供できるようになりました。次は、継続的に申し込みを増やすこと。きっかけがないとユーザーは増えないので、きっかけを作りながら、ユーザーを増やしていきます」(竹内さん)


お客様情報

お客様名:

特定非営利活動法人ADDS

所在地:

東京都新宿区西新宿7-22-31 柏木MURA206号

URL:

http://www.adds.or.jp/


本事例中に記載の肩書や数値、固有名詞等は取材当時のものであり、閲覧される時点では変更されている可能性があることをご了承ください。